11月5日(火)最終日。朝起きると、身体がなんとなくダルいような。連日、ホテルの冷房は結構効いていて、外に出れば蒸し暑く、身体の調節がうまくいかなかったかもしれません。海外のホテルに行ったら、寝る時の格好に気を付けた方がいいですね。外にでると、マリーナベイサンズも昨日とはまた違って朝日をバックに煌々とそびえています。他に遮るものが空には無いので、太陽の光がそのまま街全体を照らして、なんとなく僕の気分も晴れやかに。少し散歩をしました。
汗をかいたら、シンガポールで有名なおしゃれカフェ「チョンバル・ベーカリー」に行きました。このお店はフランスの有名なパン職人のゴントラン・シェリエ氏がプロデュースするお店で(日本にも同氏がプロデュースする「ゴントラン・シェリエ」というカフェが東京の青山にあったっけ?)、チョンバルというエリアに本店がありますが、人気に火が付き、ビジネス街のラッフルズシティにも出店し、今回はこちらに。火曜日ということもあり、仕事前のスーツ姿の方がテイクアウトで颯爽と買っていく姿もチラホラ。シンガポールのビジネスマンのパワーの源のようです。僕も大好きなパン・オ・ショコラとアイスカフェラテをオーダー。パンはサクサクでラテのミルクも濃厚、とても美味しく、パワーチャージすることができました。

その後、フライトの時間も近づき、チャンギ国際空港へ。窓越しに見えるシンガポール航空の機体を眺めながら、しばらく、うとうと。
シンガポール旅行を振り返ると、街中の道では、日本みたいにあまり人が入れ代わり立ち代わり、すれ違いざまに少しよけて気を使うといった経験もなく、「みんなちゃんと仕事しているのかな~?」という気がしましたが、家での在宅勤務だったりフレックスタイム制がよく利用されていたり、会議はオンラインで完結させたり、合理的に働く文化が浸透しているようです。常に海外からの投資を呼び込み続け、多民族をまとめ上げるのには、「シンガポールの現地の人にとってだけでなく、国境を越えて誰がどこで考えたってそうならなくてはならない」「こうした方が効率的じゃん」という視野でとてつもないスピードでデジタル社会が醸成されてきたのかなと思います。聞くところによると、昔は欧米に憧れて留学する人が多かったみたいですが、今はシンガポールを離れたくない学生が少なくないだとか。欧米に行かなくても、ボーダレスなお国柄だからか、最先端の授業が受けられるのでしょうか。同じ島国でも、日本だと過去からの慣習に囚われて、ガラパゴス化しているなんて言われることもありますが、その理由の一端がシンガポールという国を通じて見えてきたような気がします。やはり、国の歴史の長さの違いかもしれません。シンガポールは1955年の自治政府成立後、まだ70年余り。あまり前例に囚われず、その時代時代に合わせた規制改革など、柔軟に制度設計が出来てきたのだろうなと思いました。一方で日本は、”日本国”という意識が芽生えた江戸時代においては外からの刺激がないまま、400年も同じ一族の下、執政が行われていました。そりゃ良くも悪くも過去の慣習に習う文化は、明治以降は徐々に薄れているでしょうけれでも、根付いてしまっているのかもしれません。ただ、それだけ平和だっただけに、戦にかまけることなく、一見無駄に思われるような、趣味趣向が誇るべき文化にも昇華されています。これはこれで日本の良いところとも言えます。
アメリカに行けば、自由で明るい雰囲気に触れたり、シンガポールに行けばとても手の届かないくらいのホテルの迫力を感じたり、自国を飛び出て外の世界を見ることで、その国ごとに新鮮な体験を味わえ、一方で日本の良さに気づくところもあります。そういったところは海外旅行の良いところだなと思います。
シンガポールの名残惜しさを胸に抱えながら思い出を振り返っていると、気が付けば搭乗時間になり、いよいよ羽田空港へ。CAさんの太陽のようなまぶしい笑顔でまた出迎えられ、体調もまた少し回復。それでいて所作は凛としていてカッコいいなと思いました。無事に日本に降り立つと、シンガポール航空よりアンケートのメールが。”獅子の国”シンガポールは王者の名にふさわしい体験をくれたということで、10点満点をつけて回答。マーライオンにお別れを告げ、シンガポール旅行をここに綴じたいと思います。
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