年に1度、アメリカ中が熱狂する一大スポーツイベントは何か?皆さんご存じでしょうか?
それは、国名そのものを冠するアメリカンフットボール(NFL)の優勝決定戦、「super bowl(スーパーボウル)」です。毎年2月上旬の日曜日に開催されており、人々がスーパーボウルを観戦しながら食べたり飲んだりする飲食費はクリスマス級で、感謝祭に次いで2番目に多いと言われています。例年、アメリカのテレビ番組で年間最高視聴率を記録し、また、「ハーフタイムにトイレ休憩の人が殺到して水道管が破裂する」などと都市伝説が噂されるくらい絶大な人気を誇っています。
開催都市には莫大な経済効果をもたらす為、多くの都市が開催を希望しますが、開催地はオーナー会議によって決定されます。開催都市の条件の1つに、収容人数6万人以上のスタジアムを擁する都市であることが挙げられ、2024年の今年は、人々の欲望が渦巻くカジノの町、ラスベガスに決定しました(スタジアム名:アレジアントスタジアム)。対決するのは、前回のスーパーボウル覇者で2年連続優勝を狙う、ミズーリ州カンザスシティを本拠地とする「チーフズ」と、カリフォルニア州サンフランシスコを本拠地とする「49ers」です。
カジノ×スーパーボールという、何とも聞いただけで、危険な盛り上がりの様相が目に浮かびましたが、この巡り合わせは一生に一度かもしれないと思い、「盛り上がること間違いなし!雰囲気を味わいたい!」と、ほとんど衝動的に僕はアメリカに旅立ったのでした。
【Day1:2024年2月10日(土)~成田空港からラスベガスまで~】
日本の成田空港からラスベガスのハリーリード国際空港への直行便はなく、ユナイテッド航空で一旦、サンフランシスコ空港に降り立ち、乗り換えてハリーリード国際空港へ行きます。サンフランシスコまでのフライト時間は約9時間30分、さらにサンフランシスコからラスベガスまでのフライト時間は約2時間と長旅です。
成田空港でチェクインを済ませ、ユナイテッド航空に乗り込むと、機内ではボビー・マクファーリンの「Don’t worry, be happy」(一度はみんな聞いたことあるはず)が流れており、なんとも含蓄ある選曲です。僕は外の景色を見たい気持ちもありましたが、気兼ねなくトイレに行きたいので通路側の席を予約して行きました。ユナイテッド航空の客室乗務員の方は、日本人の女性と、あとは皆アメリカの方だった気がします。乗客もほとんどが海外の方でした。早速、搭乗券に書かれた席(48J)に座ると、隣に50代くらいの男性の方が居り、勇気を出して「If you wanna go washroom, feel free to ask me.」と声掛けすると「Thank you(^ ^)」と笑顔で応えてくれました。長いフライトですので、幸先の良いスタートです。
機内食をオーダーする際には、「chiken or pasta?」と聞かれ、僕はpastaを注文。ペンネにトマトソースがかかっていて、なかなか美味しかったです。またフライト中、日本人の客室乗務員の方は、なぜか僕に英語で聞いてきたので、僕も英語で応えていました。国籍に関係なく、最初は乗客に英語で話しかけて、英語が喋れそうならそのまま会話も英語で行うというのが、客室乗務員の方の慣例みたいですね。飲み物を頼む時は、前の人の真似をして、「Can I have 〜〜?」と自分の頼みたいものを〜〜に当てはめます。コーヒーでしたら、Can I have a cup of coffee?ですね。コーヒーを飲めるかどうかの可能性を聞きますので、直接的ではなく丁寧な印象になります。機内食後、早々に明かりが暗くなったものの、映画で時間つぶしということで「幸せのレシピ」を鑑賞。主人公のキャサリンゼタジョーンズが料理を作っている表情がとても凛々しく見惚れてしまいます。また身に着けていた帽子とか時計がとても似合っていて、できる人は仕事もファッションも気を抜かないんだなと感心。
そんなこんなで、2月10日の朝9時にサンフランシスコに到着。当然時差があるので、日本に居るときよりも時間が巻き戻っているのですが、なんだかタイムマシンに乗ったみたいで不思議な感じがします。ここで緊張の入国審査。滞在目的や滞在期間などを聞いて僕が怪しい人物かどうか査定します。アメリカに入国すると日本の空港で見かけるよりも、みんな体がデカく、それだけで威容がありますが、ビビらずに受け答えすることが大事です。ただ何を言っているのかわからない時もあり、本場の人が話す英語の聞き取りには苦労しました。こればっかりは学校英語では鍛えられないので、生きた英語に慣れる必要がありますね!
続いてサンフランシスコからラスベガスへのフライトまで時間があるのでサンフランシスコ空港でお昼ご飯を物色。オレンジ色の看板が目をひく「pront provisions」というデリのようなお店があったので、ここでサンドウィッチとマフィンと水を購入。
ここで円安の影響をもろに受けました。合計26.47$ですので為替150円/$を掛けると、約4000円です(ひぇー)。水に至っては600m Lで4.25$(637円)と、なんと1円/1mL以上もするのです。これはこのお店に限ったことではなく、どこのお店もこんな感じでした。日本の水の有り難さに感謝ですね。
お昼ご飯を食べた後、空港内を散策していると、アップル製品の自販機がありました。日本では見ない珍しい光景です。種類が豊富で色々目移りしてしまいますが、お土産用にお金を節約ということで、特に何も買わずにその場を去ります。ちなみにアップル製品も含め、アメリカのコンセントには日本の電化製品がそのまま使えるので特に変換プラグは必要ありません。
次の搭乗ゲート付近のベンチに腰を据え、ふと窓に目線を移すと堂々と待ち構えるユナイテッド航空の飛行機が。次のラスベガスへのフライトに期待を寄せつつ、ちゃんと僕の荷物を移し替えてくれているだろうか?という不安な気持ちも若干あり。
窓から指す陽光の中、まどろんでいると、飛行機ではやはり熟睡できなかったせいか、睡魔がきて少し昼寝をしました。しばらくして昼寝から目を醒まし、周りを見渡すとすでにスーパーボウルの観戦と思わしき49ersのグッズに身を固めた乗客の姿がかなり見受けられました。サンフランシスコ空港なので、49ersのファンばかりです。搭乗時間になると、普通、座席の番号で優先的に案内されますが、スタッフからは49ersのファンも優先的に搭乗していいという、なんとも自由なスタイルです。乗客もこれから試合会場に行くようなテンションで嬉々として搭乗していきます。また搭乗口付近にもユナイテッド航空独自のサービスなのか、49ersの洋服を着た犬がお見送りしてくれました。人見知りせずみんなに愛想をふりまいて、素晴らしいサービス精神です。
この自由な感じが、アメリカらしくてとてもいいなと思いました。搭乗して約2時間、機長より「スーパーボウルを楽しんで!」とアナウンス。いよいよハリーリード国際空港にtouchdownし、ラスベガスの地に足を踏み入れます。
【Day1:2024年2月10日(土)~ラスベガス到着~】
ハリーリード国際空港に降り立つと、さすがカジノの玄関口というだけあって、スロットマシンが置いてありました。荷物回収(baggage claim)に向かうと、super bowlのシャツを着た空港のスタッフたちが「Welcome to Las Vegas!!」と乗客たちに声掛けして熱烈歓迎。super bowlは翌日11日に控えており、空港からお祭りムード一色。僕も気分が明るくなります。
僕が泊まるホテルは、「LUXOR」といってカジノ街(ストリップエリア)の一画をなし、エジプトを模したホテルとなります。空港からも近く、今回のsuper bowlが開催されるスタジアムからも近い、非常にアクセスの良いホテルとなります。空港から近いといっても、ストリップエリアまでは徒歩では行けないので車で行くことに。アメリカではライドシェアアプリの「Uber」か「lyft(リフト)」が利用できるのですが、僕はせっかくなので、なじみのない「lyft」を試してみました。色々候補の運転手が出てくるのですが、一番早く到着できるMarioさんを選択。10分程度で向かいに来てくれ、トヨタの車に乗車。事前に目的地を伝えており、ものの20minでスフィンクスが鎮座するLUXOR HOTELのエントランス前に到着しました。支払いもチップも携帯の画面上で完結。最後Marioさんに「Thank you!」と声掛けすると、向こうも「Have a good day!」と、非常にスマートに下車することが出来ました(僕がlyft初心者だとは向こうも気づいていないでしょう)。タクシーだと観光客目当てに高額請求があるかもしれませが、lyftはシステム人で事前に金額が出てる明朗会計で、操作感も僕みたいな海外の人でもわかりやすくオススメです。4.2 mile(約6.7km)で27.59$(4100円)なので、日本と比べて2倍くらいでしょうか?
早速ホテルにチェックインし、ここでも、所々聞き取れないところもありましたが、単語だけ拾って、当て勘で会話してたら、なんとなく通じて部屋のカードキーを受け取りました。ファーストコンタクトで笑顔で話しかけたり、耳を傾ける仕草をすると、向こうも丁寧に会話してくれます。カードキーもsuper bowl仕様で記念にパシャリ。
部屋に入ると一旦、旅塵を落とそうとシャワーを浴びリフレッシュ。ラスベガスは水がめちゃくちゃ硬水で肌触りもヌメヌメしています。ラスベガスは砂漠の町ですが、コロラド川を水源としているそうです。岩肌のミネラル分が多く含まれているのか、シャンプーも泡立ちがしにくい感じがします。またまた日本の水に感謝ですね。それでも、温かいお湯で気分サッパリしたところで、早速luxor内のカジノを探索。各テーブルのディーラーもアメフトのユニフォームを来て出迎えてくれます。僕は最低掛け金が25$と比較的低いブラックジャックにトライしました。ルールは簡単でトランプのカードの合計が「21」に近づくようディーラーと勝負します。暇そうにしてるディーラーのおじさんを見つけて、まず100$をコインに変えてもらいます。またパスポートも見せて、パネルを操作しながら、僕のカジノの出入り記録を調査します。気分はオーシャンズ11でしたが、悲しいかな掛け金の少なさと釣り合いません。はじめてのカジノで最初は緊張しましたが、ハンドサインだけ事前に予習していおけば十分楽しめます。というのは、途中勝ったり負けたりしましたが、最終的には300$となり、いとも簡単に200$(30,000円)儲けることができたのです。これは沼ってしまう人もいるのも納得ですね。頃合いを見て、コインを換金し、そのお金を元手にラスベガスの夜の街へ繰り出しました。カジノ場内のルールとしてテーブル上で写真撮影はできないので、そのあたりはkeep in mindですね。
さて、眠らない街といわれるだけあって、ラスベガスは燦燦とネオンの光がきらめきます。一軒一軒のホテルの間隔も広く、道路の道幅も広い、おまけに街中で歩いている人もデカいとあって、なんでもスケールが大きいです。建物が大きいので近くにあるなと思って歩いてみると、意外と時間がかかったりして遠近感をつかむのに混乱します。
歩いていて気づいたのですが、アメリカの人たちはみんな歯がとても綺麗ですね。道中でニコニコ会話しながら歩いている人が日本と比べて多い気がして、自然と笑顔に目がいってしまいます。日本だと俯き加減な人や携帯に夢中になっている人が多いような。シャキッとしていて、ネオン光に照らされたみんなの笑顔がとても明るく、ラスベガスの全体が楽しい雰囲気に包まれていました。このあたりがアメリカの開放的な雰囲気につながっていると思います。
しばらく道をぷらぷらと歩いていると、坊主頭が最高にcoolでおしゃれなお姉さんがやっているdrink barを発見。お酒入りのフローズンドリンクのようです。気温は寒かったのですが、ストロベリー味を試しに購入。テーマパークのドリンクみたいな見た目ですが、めちゃめちゃお酒が強く、しかもストローで思いっきり吸引しないと中身が上がってこず、飲むのが大変です。アルコール度数も高く、やはりアメリカはスタンダードが違います。
ドリンクを片手にまたしばらく歩いていると、噴水ショーで有名なベラージオホテルがあり、プロジェクションマッピングもsuper bowl仕様。やはりここは記念撮影スポットということで、人がたくさんいました。そんな中で、49ersファンやchiefsファンも見当たり、ふと目線があった女の子に話しかけられました。「What do you drink?」と。おもちゃみたいなdrinkを持っているので面白かったのでしょう。アメリカでは全然知らない人同士でも、雑談で話しかけることはよくあり、風通しが良い雰囲気があります。そこから色々と話が弾み、聞けばミズーリ州から来たというのでchiefsのファンのようです。僕は49ersのニット帽をかぶっていたので、明日のsuper bowl楽しみだね、みたいな会話をしていました。普段は航空会社のtrainee(研修生)として働いているというので将来の夢はflight attendantとのこと。僕が日本人ということもあり、「将来、passengerとして再会したらよろしくね!」と伝え、記念にパシャリ。国は違えど笑顔は共通語です。別れ際に「enjoy this night! stay safe!」と言葉を掛けてくれ、アメリカの人はみんな朗らかで明るくて親切でした。
その後、ラスベガスの街を一通り歩き回り、LUXORホテルに戻って「fantasy」というdance showを観劇。セクシーなショーですが、レベルの高いダンスと歌唱力が素晴らしく、男女ともに十分楽しめるエンターテイメントショーです。
fantasyはLorena Perilさんという歌唱力抜群の座長(下写真参照)が、客をいじりながら時々ジョークを言ったりして楽しませてくれます。途中で、一番前に座っていたカップルの一人の男性がステージ上に引き上げられ、ガールフレンドの前で歌を歌わされる時間があったのですが、その間2人の愛を皆で拍手しながら見守り、会場全体がとても微笑ましい雰囲気に包まれました。きっと2人にとってラスベガスの忘れられない思い出になったと思います。こういう粋な計らいだったり、秘め事を示唆する言い回しがあったり、全然super bowlとは関係のないアメフトのチームのユニフォームを着ている観客を注意してたり、その場の状況に即した機転を利かすトークで、終始明るいエンターテイメントショーでした。英語がもっと聞き取れるようになればさらに楽しめると思います。
showを見終わると、夜も12時近くとなり、シャワーを浴びてベットに。ラスベガスの夜に今日の思い出を馳せながら、眠りにつきました。目を覚ませば、いよいよ全米熱狂のスポーツイベントsuper bowl dayの始まりです。
コメント