mayにはなぜ「していい」と「かもしれない」の意味があるの?

mayの過去形

mayにはなぜ許可の意味を表す「していい」と、推量の意味を表す「かもしれない」の2つの意味があるのでしょうか?まず、mayの歴史を調べてみることにします。

mayの語源は「力」という意味のmightだそうです(辞書で引くと確かに載っており、”might is right(力は正義)”という例文もあります)。その他にmightはmayの過去形でもありますね。mayには「力をもつ」という意味があったことから、意味的には「can」(できる)という「能力」の意味で使われることが多かったそうで、この「能力」から「許可」とか「推量」に意味が派生してきたと考えられそうです。

この派生の経緯については、ネットで調べてみると、東洋大学大学院英文学専攻の三ツ石直人博士という方が「mayの研究」というピッタリな内容を発表されていましたので、引用します。ここでも、mayにはその昔「力」という意味があって、mayを「to have power」と言い換え、同時に中核をなしていることを意識すべきと言及しております。

許可としてのmay

You may go in.を普通に訳せば「あなたは中に入っても良い」となりますが、核となるto have powerを使って言い換えると、You have power to go in.となり、「あなたには中に入るだけの力がある」と読めます。「力がある」ということは「それだけの能力がある」と言い換えることができます。能力があれば、その人に任せてもよいという周囲の人々に思わせることができるので、その人に許可を与えても差支えがないということになります。つまり「許可」の意味に転じていくわけです。

可能性としてのmay

It may rain tomorrow.を普通に訳せば「明日雨が降るかもしれない」となりますが、核となるto have powerを使って言い換えると、It has power to rain tomorrow.となり、「それは、雨が降るだけの力がある」と読めます。雨が降る能力はありますが、実際に雨が降るというところまで行きつくかどうかはIt次第というというところがありますね。もしかしたら、降らないということになりうる可能性も抱えています。


「許可」としてのmayと、「可能性」としてのmayはどちらも、to have powerの原義から来ていることが分かりましたが、次の例文はどちらの意味にも取れそうです。

・You may buy the new PC.

許可の意味でいえば、新しいパソコンを買ってもよいと、例えば親が子供に言う状況が想像できそうです。

可能性の意味でいえば、パソコンの調子が悪くなってきている友達の姿をみて、もうそろそろ買い替え時なんじゃない?(もしかしたら買うことになるかもね)と言っているような状況が想像できそうです。

結局、許可になるか可能性になるのかは前後の文脈とかその時の状況によって判断が必要なのですね~。

ちなみにmayの過去形のmightは、過去形にすることで「現実的な遠さ」を表し、「かもしれない」度合いが低くなります。過去形だからといって、決して過去の意味があるわけではございません。

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