過去形を使うことで「現在との距離感」を演出。そこから「相手との距離感」⇒「丁寧な響き」を表現
・Could I get a straw please?(ストローをいただけませんか?)など、人に何かものを頼むときに、
「Could I ~?」「Could you ~?」といった具合に、過去形のcould を使うシーンを映画等で見かけて、
なぜ現在形の「Can I ~?」「Can you~?」ではなく、過去形のcouldを使うのだろうか?と思った人は多いのではないでしょうか?(意味は別に過去のことを言ってはいないのに)
次の例文を見てみましょう。
❶ If it is sunny tomorrow, we can go on a picnic.
(もし明日晴れれば、僕たちはピクニックに行けるね)
❷ If it was sunny today, we could go on a picnic.
(もし今日晴れていたなら、僕たちはピクニックに行けるのに)
❶だと現在形のcanが使われていて、❷だと過去形のcouldが使われています。
どちらも正しい文章ですが、両者には大きな違いがあるのです。
❶は明日の天気の話題で、今日の時点で明日晴れるかどうか分かりません。ただ単に「晴れれば」という条件を上げて、「もし晴れればピクニックに行く」と話しています。
❷は今日は雨が降っていてピクニックに行けないという事実がありながら、「もし今日晴れていたら」という現実とは異なる仮定の話をしています。
なぜ❷では過去形を使うのでしょうか?それは話し手にとって、「今日、晴れていることが現実ではありえない(今日は今まさに雨が降っているから)」ので、現実との距離感を示すあために、わざと過去形を使っているのですね。It was~のwasも過去形が使われているのはそのた為です。
*wasではなくてwereも例文として見受けますが、これも通常1人称単数とか3人称単数では使わないwereを使うことで、現実離れを演出していると思われます。
この時制を過去にずらすことは英語に限ったことではなく、日本語でも「今日晴れていたら」と過去形で表現しますね。「時間的な遠さ」と「現実性における遠さ」を重ねて分析することで、この仮定の用法の本質が見えてきます。
この仮定法を使った表現は、事柄を仮定の問題として述べる為に、人にものを頼んだり都合を尋ねたりするときに使うと押しつけがましい感じがなくなって控えめで丁寧な印象になります。
Do you mind if I sat next to you.
(お隣に座ってもよろしいでしょうか?)
⇒ここがsitでも正しいですが、控えめな印象が薄くなります。
日本語でも丁寧に表現しようとしすぎて「~でよろしかったでしょうか?」
と言われる場面がありますね?正確な日本語とは言えませんが、過去形にする気持ちは英語と通じるものがあります。
冒頭のCould I get a straw, please?についても、Couldがなぜ過去形を使うか?
丁寧に表現したいが為に出てきた言い回しと言えるでしょう。
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