英語を習い始めの時、文の順番は「主語」「次に動詞」「そして目的語」と習いました。
例えば、「僕は朝食を食べる」を英語に直すと、
I have breakfast.
となります。I breakfast have.とはなりませんね。
ところが、日本語の場合、「僕は食べる、朝食を」と言っても、間違った日本語ではなく、意味は通じます。
この違いは何でしょう?それは日本語の格助詞のおかげです。「~は」で主語、「~を」で目的語であることが示されているので、順番を入れ替えても意味が通じます。
ところが英語の場合はこのような役割に相当するものがなく、単語を並べるしかないので、「主語」⇒「動詞」⇒「目的語」といった基本的な語順を決めて、語順をみればどれが主語か、目的語かがわかるようにしたのです。
ちなみに、英語とルーツを同じくするドイツ語については、名詞に「格」がつきます。父を意味するVaterにderという格がつくと、der Vaterで「父は」という主語になります。dem Vaterで「父に」、den Vaterで「父を」という目的格になります。名詞の格を見れば、主語か、目的語かわかるような仕組みになっています。
実は、古い英語にはドイツ語のように格があったのですが、時代を経ていく中で、使われなくなり、代わりに語順で主語、動詞、目的語がわかるようにしたのです。次の文章は古い英語の語順の一例です。
S-V型 Hit rinde.「雨が降った」(it rained)
V-S型 Rinde hit.(rained it)
S-V-O型 He hæfde anne godne sunu.「彼はよい息子をもった」(he had a good son)
S-O-V型 He anne godne sunu hæfde. (he a good son had)
このような多くの型は昔は多く見られましたが、語形で区別がつかなくなってくると、やはり主語のあとに目的語が来るよりも、動詞が来る方がしっくりきますし、何よりも相手の関心をひきつけるに、主語を先頭にもってくるのが自然です(日本語でも、基本的には誰が~どうするという語順ですね)。そういうことで、英語は14世紀頃までにS-V型に統一されていきました。
同じ名詞の主語と目的語の混乱を避けるうえで、主語を動詞の前に置くという原則を確立することは極めて有効な解決策だったのですね~。

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