”I would like to see you.”のtoのあとは動詞の原形なのに、”I am looking forward to seeing you”のtoのあとはseeingという-ing形なのでしょう?似たような文章なのに使い分けがあるのは不思議ですね。
この謎を解くには、不定詞(to+動詞の原形)について理解を深める必要があります。不定詞とは一般的に「to+動詞の原形」と思われておりますが、このtoというのは何なのでしょうか?今でこそ、「to不定詞の”to”」という呼称が使われていますが、英語の歴史を紐解くと、「前置詞to」と全く同じ意図で使われていたことが分かります。
それでは、不定詞の歴史について、その変遷を見てみましょう。
不定詞の歴史
①古い英語では、toという前置詞の後に、動詞の名詞形として語尾に-enneを付けた形をとっていました。
前置詞toの原義は方向(~へ)でありますが、昔の英文を例にとって紹介すると、
・They came to me to wyrcenne.(彼らは、「働くこと」に向かって、私のところへ来ました)
➡彼らは働くために私のところへ来ました。
*wyrcenneはwyrcan(=work)という動詞の名詞化動詞。
②やがて、名詞化をするために使われていた語尾-enneは、以下の変遷をたどって、語尾が”抜け落ち”、動詞の原形と全く同じ形を取るようになります。
<-enne ➡ -en ➡ -e ➡ なし>
同時にtoも前置詞から不定詞の”標識”としての機能を獲得していきます。
つまり、to不定詞のtoというのは元々は前置詞のtoであり、
I am looking forward to seeing you~の「to」も、I would like to see youの「to」も昔でいえば、あえて区別して使っていたものではないのです。
いまでこそ、to不定詞のtoは本来の「方向」の意味をほとんど失って、不定詞であることを表す標識になっていますが、もとを辿れば起点は同じものなのです。
また不定詞は「方向」の意味から「目的」の意味への派生を経て、
現在の不定詞の意味to+see(動詞の原形)=「~会う為に」となっていきました。
その歴史上、よりシンプルな活用法を追い求めてきたことで、「前置詞のto」と「to不定詞のto」が混同されて今日に至っているんですね~。
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